日本にドーナッツを定着した功労者
ミスドことミスタードーナッツといえば、日本にドーナッツというものを定着させた会社です。
家庭で作るようなものではなく、アメリカの映画で出てくるようなオールドファッションのようなドーナッツは、あまり家庭では食べられていませんでした。
ケンタッキー・フライド・チキンやマクドナルドと比較されることもありますが、それもそのはずで、日本でフード系フランチャイズ経営のはしりだからです。
ミスドは、アメリカ発祥の会社であり、ドーナッツチェーンブランドになります。
アメリカの文化の象徴的部分もありますが、実はアメリカにはもうミスドは1件しか残っていません。
ライバル会社であるダンキンドーナッツに買収されてしまいました。
その1件だけは、フランチャイズに加盟せず独立して経営しているのです。
現在のミスドを見ると、2010年からフランチャイジーの募集を行っていません。
経営的には、ダスキンのグループ子会社で、モスバーガーと共にグループを代表する会社となっていますが、さまざまな状況から経営が圧迫されてきているのです。
値上げをするしかなかったミスド
ミスドといえば、東京と神奈川では値上げをすると発表しました。
これには、大きな衝撃を受けた人も多かったでしょう。
経営的に、一時期の勢いを失ってしまったミスドです。
新商品を投入するものの、ポン・デ・リング以来大きなヒット商品にも恵まれていません。
その中で、円安の進行が早すぎ、原材料である小麦の取引価格の上昇がとどめを刺した格好になっているのです。
こうした事態に経営自体が追い付かず、値上げをし始めるしかなかったのです。
さらに、コンビニ各社が店頭のドーナッツ販売を開始し、さらに競争が激化してしまったことも影響があるでしょう。
基本的に、こうしたファストフードは、割安感が勝負になります。
わずか10円であっても致命傷になってしまうこともあるのですから、苦渋の決断であったことは間違いありません。
その中で、東京都神奈川だけの値上げは、人件費の問題も背景にあります。
アンバランスな経済状況の犠牲
アベノミクスにより、人件費をどんどん引き上げるべきという風潮が出てきました。
しかし、巨大企業にはそうした耐力はあっても、輸入材に頼る企業にとっては、耐力をつける前に人件費だけが高騰してしまい、取引量が減ってしまうのを覚悟で単価を上げるしかなくなったのです。
特に都市部では、人件費の高騰の幅は大きく、企業全体で支えることができなかったのも大きな原因でしょう。
こうした地域ごとの単価は、日本ではマクドナルドが行っています。
単店舗ごとに仕入れ単価は同じでも、人件費や地代に差があるため、利益を公平に維持していくために、店舗ごとに差をつけ始めました。
アメリカではよく行われている経営方法ですが、日本はそこまで国土は広くはなく、道州制の様に地域的な違いがでない以上、とても違和感を持たれたのです。
現在不祥事が続き、深刻に経営が悪化した背景の一つとして、こうした差別化があったと指摘する人もいるほど、影響を与えてしまいました。
ここまで人件費だけが引きあがってしまえば、全体を犠牲にしないためにも、こうした地域値上げをして維持するしかなかったといえるでしょう。
それでも、利用者側からすれば、大きな値上げに変わりはありません。
あまりにアンバランスな経済状況は、利用者に対してしわ寄せがくる典型となってしまったといえるでしょう。